アメリカ型市場経済に「異議ありの声」2006年03月15日 23:50

今朝の朝日新聞(13版・10面・経済)に、世界最大の小売チェーンWal-Martが取り上げられている。切り口は「低コストを支えに徹底した安売りをするというビジネスモデル自体が曲がり角にさしかかっている」という点にある。なぜ「曲がり角」なのか。ここが面白い。要するにWal-Martには「労働組合がないため、従業員の賃金や医療費負担など待遇が悪く、地域の生活水準が下がる」ので、進出(出店)には反対という地域が圧倒的だということだ。徹底した安売りを武器に巨額の利益を上げながら、医療費負担はまったく貧弱。そのため従業員が公的補助を受けるため、消費者にとって結局は安売りの恩恵が相殺されるし、それだけではなく公的補助の源泉は税そのものだから結局安売りのツケを回されることになる、という理屈だ。Wal-Martの経営者は、労働組合がないなど労働条件が劣っているとしても、従業員募集には10倍の応募があり、「当社で働きたがっている」人は少なくないとアメリカ型市場原理ののりで反論しているようだ。しかし、これがもはや通用せず批判の的になっているのが現実ということのようだ。まっとうな地域を形成する、ということが持つ意味を教えてくれる記事といえる。日本の現状を考えれば、こんな地域コミュニティはほとんど存在しない。「アメリカ型市場原理ののり」が大手を振って通用する現実ばかりが目立っている。

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