株主への“抵抗勢力”2006年11月10日 22:05

Web日経の、「『am/pm』『牛角』のレックスHD、経営陣が買収」という記事が目に止まった。 コンビニのam/pmや焼肉チェーン牛角を展開するレックス・ホールディング(HD)が、経営陣 による企業買収(MBO)に入るというもの。やや詳しく言えば、レックスHDと独立系投資会社 (アドバンテッジパートナーズ)が共同で特別目的会社(SPC)を設立し、このSPCがTOBによって レックスHDの株式を取得するということのようだ。買収額は600億円。

目的は何か。 ジャスダックでの上場廃止。なぜ上場廃止なのか?株主の短期的利得を得ようとする動き、支配から独立するのが必要だから。株主の思惑に左右されないビジネス展開をめざすということ。

企業支配ないし企業統治(コーポレート・ガヴァナンス)の主役が株主とは限らないことを強調したいようだ。株式が俄然人気の的になるなか、いわばこれに背を向け たチョイスと見ていい。「反動!」との謗りを免れないのを覚悟の上での決断というべきかもしれない。今では、小学校が「株ゲーム」を取り入れるようになった。こうしたいわゆる一億総株主家の流れに投じられた一石と見ておこう。

コメント

_ 小白川小僧 ― 2006年11月14日 10:04

 おはようございます。
 「経営陣」による企業買収MBOといっても,企業買収者の圧力から逃れることによって短期的には収益が上がらなくても思い切った経営を行なうるという直接の目的は共通していても,ワールド,すかいらーく,レックスの経営者は「創業者(一族)」,いわゆるオーナーによる上場廃止であり,会社を再び完全に自分のものにしたいとか,収益改善した後に再上場によって創業者利得を得たいという願望が根底にあるのではないでしょうか。
 もちろん,MBOの手数料を稼ぎ,創業者利得の分け前にも与りたいという投資ファンドの介在が日本でもMBOを活発にしているのでしょう。
 したがいまして,一億総株主「化」の流れに投じられた一石というよりも,その流れ--過剰資本の常態化の中での金融システムの肥大化とでも言いましょうか--の中の一局面のように,私には思えます。

_ 小白川小僧 ― 2006年11月14日 10:37

 舌足らずでしたので補足。

 オーナー経営者のMBOを通じた上場廃止は,昔ながらのオーナー大株主の外部株主に対する対抗策。
 その上場廃止が,再上場による創業者利得を睨んで,投資ファンドの手を借りてMBOという形で行なわれる点が,過剰資本下の一断面。

_ Spindletree ― 2006年11月18日 00:29

小白川小僧さん、コメントをいただきまして有難うございます。今回もコメントに気がつかず、いま発見いたしました。ようするに株主への対抗という意味合いはあるにせよ、それはいわばサブ的側面に過ぎず、メインの意味は、オーナー経営者によるMBO(という投資ファンドの手を借りると言う点でもすぐれて今風の手段)を活用した上場廃止が実はいま一度の創業者利得(という甘い汁)をなめることにある、ということでしょうか。しかもこうした一種ゲーム風の小手先的技を通してしか“価値増殖”を実現し得ないということが過剰資本(の状況)を端的に表現するということなのですね。たいへん勉強になりました。有難うございました。

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