高崎経済大、准教授を懲戒免職という「問題」2007年04月11日 22:44

昨日から今日にかけて各種メディアで 「留年通告」ゼミ生自殺、高崎経済大准教授を懲戒免職のニュースが飛び交っている。 衝撃的なことなのだが、事実関係がいま一つ分らないというのが率直な印象ではないか。 昨年の8月ゼミ生に課題を出し、12月時点で、未提出の女子学生ら3人に、1月15日までに 提出しないと即留年になるとメールを送った。その1月15日に一人の女子学生が 橋から川に飛び込んで自死した。教師は、その日は、未提出の2人のうち亡くなった女子学生 だけに催促のメールを送った。一連の経緯から教員として適切な教育/指導を行わなかった ことが明白なので懲戒免職に値する。以上が経過である。因みに、8月に出した課題というのは、アダム・スミスの 重商主義批判について論ぜよ、など10の論点から5つ選んで論述する、というのと「日経新聞 の社説10篇」を要約し、それぞれにコメントをつける、ということだったようだ。 処分を言い渡した学部長によれば「大学院生並みの厳しい課題。ある課題がこなせなかった というだけで即留年というのもおかしい」とのこと。

日経の社説を要約して、それに 自説を述べるというのが「大学院生並みの厳しい課題」というのもピンとこないし、スミス の件も、それこそ―ほめられたことではないが―今の大学生の常套手段(ググる!?)を使えば、質の問題は残るにせよ 短時間に相当のことは書けたはずだと訝しく思う。そしてニュース、テレビ、新聞、ネット でオープンにされている情報から判断すると「懲戒免職」という重い処分を下した理由も判然 とはしない。

と、いうふうにとらえて見ると、各種メディアは実はホントの事実を伝えていない のではないかと思わざるを得ない。ルポライターは、社会面の3行記事を見ていささかでも 疑問を感じたら独自に取材を進め、その全貌を明らかにするのが仕事といわれる。今回のこの「事件」も そのような種類のことなのではあるまいか。

国民投票法案 衆院委で可決2007年04月13日 11:05

国民投票法案の与党修正案が、、衆院憲法調査特別委員会で与党の賛成多数で可決された。 朝日の分析では、与党が「過半数で手続き法案を可決した結果、皮肉にも、改憲の前提となる 『3分の2連合』の崩壊は決定的になった」という。周知の通り、憲法の改正要件として、衆 参各院で総議員の3分の2以上の賛成での発議が不可欠だが、それが野党の合流がなくなったと 見られるから難しくなったということだ。とはいえ、今回の法案では、「国民投票で過半数が賛 成することと」なっていることとの関連では、「投票を有効とする『最低投票率』の設定がない」 という問題がある(河北26面)。端的言えば「投票率が四割を下回る場合、有権者 の二割を超えただけで改憲が認められしまう」(同、小沢隆一〈憲法学者〉)からだ。

先日の都知事選も、現職の得票数(281万票)は、全有権者数(1千万強)の、実は四分の一に過 ぎなかった(正確には27.8%)。これが「圧勝」の実態。要するにある条件の下では、全体の四分 の一の合意を得れば何とかなる、というのが私たちの目の前にある、紛うかたなき現実ということだ・・。こわっ。

「佐藤優という『罠』」(『アエラ』)の面白さ2007年04月16日 19:57

今日発行の『アエラ』に、「佐藤優という『罠』」という記事がある。 一昨年、佐藤のデビュー作『国家の罠』(新潮社)を手にし、読み始めて 一気にしまいまで読み通したことを思い出した。佐藤は、いわゆる鈴木宗男スキャン ダルの一環として東京地検特捜部によって逮捕されたのであったが、取調べ の模様、東京拘置所での詳細を描いたのが『国家の罠』だった。「国策捜査」 なるタームを日常語に高めた本でもある。今回『アエラ』が取り上げた のは、いまではあらゆるメディアが佐藤に執筆や出演を依頼し、 一ヶ月の原稿本数が40本に達するという現実の因って来たる所以をさぐり あてようというところから。で、佐藤の何が、メディアを、したがって読者を ひきつけるのか、といえば柄谷行人の解説では、外務省で諜報の仕事を知り尽くした こと、マルクスの著作についての半端じゃない造詣、キリスト教への深いかかわりとのこと。 これらにロシア、母のルーツ沖縄を加えれば佐藤の全貌が見えてくるということらしい。 これら佐藤を構成するもの は、現代という時代、現代という社会からすれば、すべて《周辺/周縁》に位置している、ことに 気づく。いま読書する人々にとっては、新自由主義とかアメリカとか経済産業省(旧通産)といった《中心》にあるテーマが関心の対象になっているわけではないことを示している。 ここが面白い。もちろん、アエラの記者が「外務省の3人に取材したが、佐藤より高位のエリートであるにもかかわらず、彼の名前を出すと、一様に腰が引けた。まるで『佐藤の罠』にはまったように」という状況を消費すべく、佐藤の書いたものに数多の読書人が殺到するということもあるにちがいない。とはいえ、「佐藤優という罠」それ自体も賞味期限が画されているとみるべきなのかもしれない・・。

ぼやきのノムさんに笑顔・・2007年04月18日 22:27

夕食時テレビで楽天VSソフトバンク戦を放映していた。マウンドには新人田中将大(マー君)。 投げるのは4試合目らしい。これまでは勝ちも負けもナシ。きょうは1回の表に1点をとられ てなおノーアウト満塁の難しい場面を3連続三振に切ってとったことではずみがつき、結局 いまネットで見たら、完投してしまったようだ。6対2での初勝利。

先日、昨夏甲子 園で田中と投げ合った ハンカチ王子が神宮にデビューし、だいぶ球場を沸かせたらしいが、今夜のフルスタ宮城 の観客数は1万4千弱。大入りには程遠かったようだ。ここがやはりみちのくたる所以か。 ぼやきのノムさんは、「田中は何か持ってるね。強い星の下に生まれている気がするなぁ。」 とコメントを出したとか。なるほど。かつて“長嶋は向日葵(ひまわり)、自分はしょせん 月見草”と言った感性がこういわしめたということなのだろう。今夜のスポーツニュースでは、コメント するハンカチ王子が出てくるのだろうか。ともあれ、ようやくプロ野球が東北に定着する きっかけができたのかもしれない。東北は周回遅れのトップランナーとして立つ!?